8 Dec 2017

人間の体の中身は左右対称ではない。菊池雄星が始めた「左特有の投げ方」 // Number Web

「プロ野球における大型左腕の伸び悩みが顕著」な中で,なぜ菊池雄星が着実に成長しているのか? その影には,自らも左投手であった「ピッチングコーチ・土肥義弘の存在」があり,さらに「人間は左右非対称の身体である」という認識がその支えになっている。という,Number Webの記事です。非常に興味深く読みました。

人間の体の中身は左右対称ではない。菊池雄星が始めた「左特有の投げ方」 // Number Web
http://number.bunshun.jp/articles/-/829417

まず面白いのは,PRI理論と呼ばれるもの。

PRI(Postural Restoration Institute)理論というMLBやNBAでも採り入れられている新種のトレーニング法に(トレーナーの根城祐介が)精通。指導者としての認定も受けている。この理論が左投手と右投手の違いに頭を悩ませていた菊池にとって、積年の課題を解決するものだった。

PRI理論とは、人間は左右非対称の身体であるというところに注目し、非対称であるから使われやすい筋肉と使われにくい筋肉が存在することを認識する。そのうえで、使いすぎている部分の抑制と使われていない部分の活性化を行う。

「使われていない部分の活性化」は想像できるとしても,「使いすぎている部分の抑制」というのは,どういうことをするんでしょうね。

「幼少の頃からずっと野球を続けてここまできている選手は身体の使い方がパターン化されています。そのため、PRI理論に基づいて“投球時に改善しろ”というのはなかなか難しい。今、菊池さんと取り組んでいるのは、筋肉が働き過ぎているところを抑制して、働いていないところを活性化させることです。これまで頭にインプットされていなかった動作になりますので、コンディショニングから改善しています」

どれほど体幹トレーニングをしても、体幹の使い方や正しい動作を知らなければパワーを有効に使うことはできない。鍛えた体幹を動きに反映するアプローチをトレーニングから取り入れているのだ。

これも,なんとなく理解できますね。体幹に限らず,基礎的な筋力は必要でしょうが,その使い方や正しい動作を知らなければ,トレーニングの効果は減ってしまうと。

根城さんによれば、人間の身体を真っ二つに割った場合、内臓などの配置が違うので右側の方に重量があるのだという。その分、単純に手足を動かすにしても、左右で動きやすい部分、動きにくい部分が出てくる。

よく言われているのは,陸上のトラックでもスピードスケートのリンクにしても,反時計回りになっている。あれは,普通は肝臓が体の右側にあるから右に側屈する方が大変だ…,というやつ。

「菊池さんの場合でいうと、右股関節に“詰まり”がありました。身体の左側でテークバックした時はすごくきれいに回旋できていたのですが、右側に体重移動すると、身体(脊柱)の回旋ができていなかったんですね。どこで問題が生じるかというと、股関節なんです。」

僕も左右の股関節で硬さに違いがあるので(一方は内側に柔らかくて外側に硬い,あるいはその逆),この現象は理解できます。

いずれにしろ,体は左右非対称なので,左投手の動作は右投手の鏡像にはなりえない,それは左投手にとっては自然な動きだけど,それが右投手には感覚的に理解できないのだと。

プロレベルでも、選手に対して「俺はこうやって投げていた」「投手はこういうものだ」という指導がされることは多い。もちろんすべてが悪いというわけではないが、身体の仕組みを理解していないと大きな間違いを起こす可能性がある。菊池が土肥コーチと出会って大きく進化できたのは、2人が同じ左腕だったことも無視できないだろう。

この右左は極端な例ですが,それに限らず,人間の体ってそれぞれに個々の制約条件があると思うんですよね。筋力しかり柔軟性しかり,あるいは過去のスポーツ経験から染み付いた動作のクセとか。そういうのを見極めた上で指導してくれるコーチがほしいなぁと,思うわけです。

あとこれで思い出したのが,この本です。

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この中にも確か「右利きの動作と左利きの動作とは鏡像じゃない」という話がでてきて,なのでミケルソンのスイングは左利きならではだ,というのがあったと思います。

2 comments:

  1. レバーが邪魔ってのはたしかにそうだな、と。内臓の位置すら人それぞれ微妙に違ったり胃下垂だったり(笑)

    ここ数日、我流の大切さを考えているんだけど、最初からレッスン受けて綺麗なスイングを身につけた人たちの伸び悩み率の高さが面白いなーって。教科書通りではダメ、自分のカラダにアジャストする工夫を「自身で」行えなければうまくはなれないってことかも。体内各所の微妙な違和感をコーチにわかってもらうってのは難しい。特に、ケガへの恐怖や痛みの前兆のまた前兆くらいの軽い違和感はね。

    体内の出来事をコーチに伝え、コーチは「だったらこうしよう」と教科書にない代替案を出せるかどうか。なんて、そんなコーチ、世界に数人いるかどうかみたいなレベルに感じるなぁ。だとしたらそんな優秀なコーチは月イチゴルファーなんかにかまってちゃいけない(笑

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    1. レッスンを受けるのは上達への近道ではあると思うんだけど,そこで自分の中の感覚を大事にしないと,錆びていくのも早いし調整能力も身につかないかもね。

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