23 Oct 2017

本 // Lost Links: Forgotten Treasures of Golf's Golden Age // オーガスタに関する記述だけでも十分に面白い

その名の通り,「失われたゴルフコース」を解説したものです。

Lost Links: Forgotten Treasures of Golf's Golden Age
Daniel Wexler
Wiley
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数十ものそうしたコースが取り上げられる中で,最初に登場するのが,あのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ。著者によると,「現在のオーガスタはそのルーティングこそオリジナルとおおむね同じではあるが,その中身はといえば,ユニークでワンダフルであったオリジナルとは少しの類似性しかない。幾多の改装によって,戦略性も,興奮も損なわれた」とのこと。

その例として,2番パー5があげられえます。かつてグリーンはL字型で,右手前にバンカーがひとつだけあった。ティーショットは左サイドのバンカーを避けるべくドローボールが求められ,2打目でグリーンを狙うとしたら低いフェードが求められた。この絶妙なバランスは,1953年の改装でグリーンがいまのT字型に変わったことで失われてしまった。さらにその13年後にフェアウェイバンカーも(かつては安全なサイドだった)右に移された……。といった様子で,マッケンジーのスケッチとともに,オリジナルのオーガスタを読者の中に蘇らせようとしています。

オーガスタの項がやっぱりいちばん面白いのでこのまま続けますが,4番から始まる4ホールで,マッケンジーはスコットランドの偉大なホールをモチーフにしたものを作ろうとした。4番パー3の場合は,St Andrews Old Courseの11番パー3「Eden」。マッケンジーが記したように,「多くのケースでEdenを模倣する試みは失敗している,なぜならEdenの特徴は急なスロープと微妙なスロープが入り混じったところにあるからだ」として,この4番には自信があったようなのですが,それも1938年にPerry Maxwellによって行なわれた改装でグリーンは傾斜がゆるめられ,マッケンジーの意図は葬り去られたと。

あるいは,6番パー3も,North Berwickの15番「Redan」を意図しており,マッケンジーも「オリジナルよりいいはず」と言っていたのですが,これまたMaxwellがスロープをフラットにしたおかげで,Redanの肝である「手前右から奥左へのフォールアウェイ」はどこかへ行ってしまったようです。

7番パー4は,St Andrews Old Courseの18番,特に「死の谷」を当初は意識したものでした。が,これまた1938年にグリーンコンプレックスが改造され,その後さらに距離を伸ばされたりして,現在はただのPenalホールに変わって原型を留めないものとなってしまったのでした。

……といった感じで,このオーガスタに関する記述だけでも読む価値があるのではないかと思えるほどの面白さです。一部ではTom Doakが次の改装を手がけると噂されており,そうなるとかなりオリジナルの姿を取り戻すのではないかと想像されますが,一方でオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは新たに土地を買収し,特に13番パー5あたりの距離を伸ばすことを目論んでいるとか。どうなりますやら。

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