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本 // 中井学『ゴルフ 無駄な知識を捨てる技術』池田書店

ゴルフ 無駄な知識を捨てる技術 (池田書店のゴルフシリーズ)
中井 学
池田書店
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  • 日本のゴルファーが頭に詰め込んだ理論は,ほとんどいらないモノ.それが上達の妨げになっている.一方,アメリカのゴルファーは,ハイレベルでありながらスイングのことはあまり考えていない.この本は,著者がアメリカで学んだ知識や,それをもとに自分で構築した理論を著したもの.また,多くのゴルファーを惑わせている日本式のゴルフワードも取り上げる.
  • 日本選手は昔からの風潮として,いいスイングをして,いい球を打つことが至上の目的と考える傾向があるように感じられる.
  • 日本が世界にもっともっと近づくには,やはりアメリカ式のコーチングに触れることが近道ではないだろうか.スイングの合理性を追求する目的がハッキリしているし,プロとアマチュアのやることは基本的に同じという考え方が根底にあって,アマチュアにとっても理解しやすい.
  • アメリカの指導で一貫しているのは,スイング中の体の動きを,物理的な面などの例を引き出して,わかりやすく解説してくれる点.骨格の動きなども教えてくれるコーチもいる.
  • 韓国のプレーヤーは外見は東洋人だが思考はアメリカ的.だから強い.
  • アメリカでは,初心者はまず最初にゴルフコースに連れていかれ,パッティングから教えられる.そのあとにアプローチという順番.
  • 日本では初心者がいきなりドライバーをフルスイングしたりするが,危険きわまりなく,アメリカでは絶対に考えられないこと.
  • 早く上手くなるには,練習場よりもコースに出かける回数をできるだけ増やすこと.
  • 手術で1年間リハビリをしていたときに,手打ちがダメなのがわかった.右手1本であれ左手1本であれ,下半身主導の動きで腕が勝手に振られることを体感できた.
  • ゴルフスイングにとって,一番重要なのは「リズム」.
  • 真っ直ぐな球を打つことしか考えない人は,球が曲がったときの原因がわからない.スライスやフックを打つ練習を積んでおけば,球が曲がる原因が理解できる.
  • ゴルフスイングとは,肩甲骨と股関節の動きが主であると考える.
  • アメリカのティーチングプロやコーチがスイングを語るとき,ベン・ホーガンのスイングの説明から入るのが一般的.
  • スイングの動力は腰.「ヒップターン」がパワーの源.骨盤の平行移動を意識する.
  • 「バックスイングでは左肩を回せ」というが,右の肩甲骨をスライドさせるのが正解.
  • 骨盤の旋回,背骨のねじれによって,肩甲骨のスライドが生まれ,腕やクラブが勝手に振られる.体を使ってスイングするというのは,このことを指す.
  • 重心の平行移動さえあれば,体重移動なんていらない.フットワークとは足を使うことではなく,骨盤の重心移動と考える.
  • 頭が大きく左右に動くスエーはよくないが,腰が左右に動くのはスエーではない.スエーするのは,骨盤を前傾していないから.
  • ヘッドアップというのは,頭が上がる,つまりダウンスイングからインパクトにかけて頭の位置が高くなること.ヘッドアップとルックアップは違う.ルックアップをしないように意識しすぎると,肩甲骨のスライドがうまくいなくなる.
  • コックとは手首を屈曲させる動きのことで,バックスイング中に両手首を親指側に折るのが正しいコック.それに対して,手首が甲側に折れるのがヒンジ
  • リストターン=手首の旋回.しかしこの意識はアメリカ式のゴルフにはない.もとmと手首を使うという考え方が存在しないから.ナチュラルな動作という条件付きで手首を使っていいのは,コックとヒンジだけ.手首を旋回するのではなく,腕の全体を旋回するアームローテーションが正しい.アームローテーションは,肩甲骨のスライドから生まれる動き.
  • 振り遅れてはいけない」は日本的な考え方.アメリカでは「レートヒットしなさい」と教える.左腰がクラブを引っ張るイメージで,「正しい振り遅れ=レートヒット」がマスターできる.
  • ハンドファーストはあくまでも下半身のリードから生まれる形であって,これを意図的に作ろうとすると,下半身が止まって両手だけがどんどん先行してしまい,インパクトでフェースが大きく開く.悪い意味での振り遅れになる.
  • 頭を残すよりも,軸を動かさないことを考えよう.骨盤の旋回と肩甲骨のスライドは積極的に使うが,首の付け根はできるだけ動かさないことを意識する.
  • 左サイドのカベを作る意識は必要ない.スイング中に体のどこかを止めてしまうと,手が足りない動きを補おうとして手打ちを誘発する.
  • 左手は「リード」するものではなく「ガイド」するもの.
  • 体の左半分と右半分では,心臓がある左半分おり肝臓が多く占める右半分のほうが重い.重い方の右サイドを反時計回りに回すほうが,回転のスピードを効率よく上げられる.
  • ミスショットが続いたら,アドレスだけをチェックすればいい.ラウンド中にミスが出たとき,日本のゴルファーは,まず体の動きを疑う.一方,アメリカのゴルファーは,まずアドレスをチェックする.
  • 日本人は目に見える場所から入ろうとするから複雑になる.プロたちの連続写真が好きなのも,日本のゴルファーの特徴.大切なのはスイングの流れを想像し,動きのポイントを理解すること.
  • パッティングの上達だけでシングルになれると断言してもいい.
  • アメリカ人はクラブに仕事をしてもらおうという意識が薄い.一方,ギアの知識が豊富なために,自分の能力よりもクラブがゴルフをしてしまっているような感覚が,日本のゴルファーにはある.
  • 打つたびにクラブを変える練習も効果的.
  • フェースを開閉しやすいパター(ピン型やL型)の場合は前傾姿勢を浅めにして構える.ショット感覚に近いアドレスとストローク.
  • 直進性の高いパター(フェースバランス)は後頭部が地面と水平になるイメージで前傾を深くする.みぞおちよりも肩甲骨のスライドを主にして考える.
  • 1つのことを教えたら,それをマスターするまで何も教えない.マスターできてからまた1つのことを教える.それがアメリカのコーチングであり,確実に上達するための最良の手段.
  • フェアウェイの幅が狭いから,ドライバーを持たない.日本のゴルファーはそう考えるが,アメリカのゴルファーは違う.「幅が狭い=ドライバー以外のクラブで打つ」なんて考えない.自分を信じて,グッドショットを打つことを前提にプレーしているから.
  • アメリカのゴルファーは横のハザードを気にしないかわりに,タテのハザードのことは慎重に考える.
  • ドライバー至上主義を捨てればスコアは良くなる.

(感想)
最初に読んだときは(ゴルフを始めた直後だったけど),「アメリカ的な合理性」とか「日本式ゴルフワード」とかいうあたりにすごく共感して読んだけど,改めて読みなおすと,「アメリカ式は善!」というスタンスを打ち出しすぎてて,脂っこく感じる.「日本選手は……,と考える傾向があるように感じられる」という一文に代表されるように,明確な根拠やデータが読者には提示されないまま「日本では……,一方アメリカでは……,」という論調が,スイング技術からコース戦略についてまで語られるから,ちょっとポカーンとしちゃいますな.いや,著者はアメリカにいてゴルフやってたからいろいろ分かっているだろうけどさ,その体験を共有できない読者に対して提示するには根拠が薄弱だと思うんですよ.

最近の中井氏はいたるところで「ヒップターンが大事.腕は勝手についてくるから意識しなくてよし」というメッセージを打ち出しているように見受けられるけど,それも「1年間のリハビリ期間における体験」に強く根付いているように思え,なにかとても属人的な(あるいは普遍性を欠く)メッセージに思えてきてしまう.

で,しまいには「アメリカ人はドライバー以外の選択肢はない」といった舌の根も乾かぬうちに「ドライバー至上主義を捨てればスコアがよくなる」ときたもんで.あまりにも論理展開が雑じゃないかなぁと思う.

一方,「第2章 こんな日本式ワードに惑わされていないか」は好き.「左のカベ」とか「体重移動」とか,(ゴルフに限らず)その世界でよく言われている言葉の意味を検討・批評しないまま盲目的に使っている人って教える側も教わる側も多いけど,そこに焦点を当てているのは好ましい.

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