19 Oct 2017

本 // Golf by Design: How to Lower Your Score by Reading the Features of a Course // ロバート・トレント・ジョーンズJrが設計家の観点からコース戦略を解説

ロバート・トレント・ジョーンズJrは。日本でも,オークヒルズや美浦などの設計で知られています(ソース)。その彼が著した「Golf by Design」,その副題「How to Lower Your Score by Reading the Features of a Course」がまさに示しているように,テーマは「コースの特徴を読むことでいかにしてスコアを減らすか」です。

これで本当にスコアが減るかは別にして,多くのコースが実例として持ち出され,イラストつきで解説されていたのは,なかなか面白いです。

Golf by Design: How to Lower Your Score by Reading the Features of a Course
Robert Trent Jones (著), Tom Watson (寄稿)
2005/5/11



Chapter 1: The Playing Field
ゴルフというゲームに対する著者の考え方が語られます。「ゴルフは設計家とゴルファーとのあいだで行なわれるチェスのようなものである」。そこには「攻めと守り」があります。あるいは,「ゴルフはビリヤードのようなものである」。それは,次やその次のショットを見越したポジションどりが要求されます。あるいは,「ゴルフはターゲットスポーツである」。著者は「すべてのホールを分割し,パー3ホールの連続であると考える」ことを提案しています。また,よくいわれるように,ゴルフボールを「Strategic / Penal / Heroic」という3種類に分けることも述べられます。さらに,「パークランド,デザート,リンクス,山岳,熱帯」といったコースのタイプについても,それぞれの特徴が述べられます。

Chapter 2: the Teeing Ground
ティーインググラウンド(以下,ティー)だけが,ゴルファーがそのライを選べる唯一の場所だけに,ティーについて理解を深め,それを最大限に活用することが必須である,と著者は語ります。例えば,ティーの傾斜に注意を払い,それがボールの弾道に与える影響を考慮せよと述べます。ティーについたら,ホールの主要な特徴を見分け,それをもとにホールをどう攻めていくかを考えます。そして,設計者がホールにしかけたワナを読み取ることも求められます。ティーマーカーの向きにも注意を払い,自分のアラインメントがそれに惑わされないように注意します。

Chapter 3: Fairways and Rough Plays
フェアウェイの種類,例えばフラット(あるいはベースライン),マウンデッド,ローリング,ティルテッド,についてまず語られます。そして,フェアウェイのスタイル,つまりストレート,ドッグレッグ,スプリット,アイランド,についても違いが語られます。芝の違いがプレーに与える影響にも触れられます。ライごとのプレーの仕方(左足下がり・上がり,爪先上がり・下がり)についても簡単に触れられます。設計者の観点からは,ラフにはふたつの役割があるようです。ひとつは,ホールの「守り」として,もうひとつは,「ボールがそれ以上悪い状況に入り込まないためのバッファー」として。

Chapter 4: Bunkers
古い時代にはゴルフコースに数多のバンカーがあったけれど,大恐慌の時代にはそれを維持するのが難しくなったそうです。で,ボビー・ジョーンズやアリスター・マッケンジー,あるいは著者の父(ロバート・トレント・ジョーンズSr)といった設計者たちが,あらたな哲学を生み出した。それは,「バンカーとは初心者のプレーには影響しないが,中級者以上のプレーヤーにとっては影響すべき場所に配置すべき」というものです。バンカーは「いくつ」ではなく「どこに」配置するかがカギ。バンカーの種類の違い,役割の違いについても語られます。

Chapter 5: Other Hazards
その他のハザードとして,水や木などについて述べられます。また,アリスター・マッケンジーのハザードについての有名な言葉が引用されます。「多くのゴルファーは,ハザードの本当の意味について間違った理解をしている。つまり,ミスショットを罰するのがハザードであると。そうではなく,ハザードの本当の意味は,ゴルフというゲームをより面白くするものである。例えば,Cypress Pointの16番,海越えの222ヤードパー3ホール。ボールをひとつふたつなくすリスクをおかしてでもグリーンを狙う価値のあるホールである。あるアメリカ人が私に言ったのだが,彼はいつもこのホールで海越えを狙うので,いままで大量にボールをなくした。だけど,ボールがグリーンを見事に捉えたときの喜びと達成感は,それまで海に消えていったすべてのボールを超える価値がある」。

Chapter 6: Reaching the Green
グリーンを狙うショット(アプローチショット)と,グリーンコンプレックスとについて語られます。ショットの種類,つまりチップ,ピッチ,ロブ,バンプアンドランの違いについても述べられます。ウェッジの種類についても触れられます。ショートゲームに影響を与えるグリーンの種類の違い,例えばフラットなのか,受けているのか,馬の背なのか,ボウル型なのか,2段なのか,ローリング(うねっている)なのか,についてもイラスト付きで説明されます。

Chapter 7: Greens
まずサイズの違いについて述べられ,大きなグリーンの場合はそれがいくつかのより小さなグリーンの集まりとしてみなせることが述べられます。ペブルビーチ7番パー3のグリーンのサイズが時代によってどう変化したか,その写真も掲載されています。グリーンのスピードについては,スティンプメーターはあまり役に立たないこと,それよりも風や日光や気温や雨といった要素がグリーンの速さに大きな影響を与えることを述べています。芝の違い,特にそれによる芝目の違いについても語られます。

Chapter 8: Illusions and Wind
設計家が使うイリュージョン,つまりいかにコースを長く・短く・広く・狭く見せるか,について,多くの実例がイラストと写真もふくめて述べられます。また,風がプレーに与える影響についても語られます。

Chapter 9: Architectural Excellence
これまでの述べたすべての要素を踏まえた上で,いくつかのコースをピックアップして解説をしていきます。たとえば,St Andrews Old Courseの11番パー3。North Berwrickの15番パー3。Royal Portrushの5番パー4。Pine Valley13番のパー4。Mid Ocean5番パー4。Augusta National13番パー5。などなど。


本 // Peugeot Golf Guide 2006/2007: Europe's Top 1000 Golf Courses // プジョーによる,ゴルフコース版ミシュラン・ガイド

かれこれ3年近く前になりますが,イギリスに行くことになるかもしれないと分かったときに,最初に買った本がこれでした。プジョーによる,ヨーロッパのゴルフコースガイド。いわば,ゴルフコース版ミシュランガイドです。

Peugeot Golf Guide 2006/2007: Europe's Top 1000 Golf Courses
2005/11


この本の存在を教えてくれたのは,このブログでした。

ターンベリー アイルサコース // 漂流する身体。
http://d.hatena.ne.jp/bohemian_style/20130930

さてこの本,イギリス&アイルランドを含めた,ヨーロッパ中の1000コースのガイドブックとなっており,掲載されたすべてのコースにスコアが付与されています(コースに対して20点満点,クラブハウスに対して10点満点,そして周囲の宿泊施設に対して10点満点)。1コースに対して1ページが割り振られ,その中で英語とフランス語による紹介文,住所と電話番号と地図,プレーフィーなどが一覧できます。

コースに対して20点満点を得たところはなく,最高が19点で18コース。それらは以下の通りです。


今でも覚えているのは,この本を片手にkkと飲んだことがあって,ビビリでペーパードライバーだった僕は「このガイドブックに書かれているコースの中で,ひとつでも僕はプレーできるんだろうか」と自信なげにkkに言ったことです。結果的には,この本どころか上記の19点のコースの中だけで11コースをプレーしたことになりました(リンクは,そのときのラウンドの記録に貼っています)。

でもそういった超名門コースよりも,このガイドから得られた情報の中でいちばんよかったと思っているのは,イングランドのコースページをひとつひとつ眺めていって,そこで目にしたHadley Wood Golf Club。このブログでも何回か書きましたが(たとえばこれ),北ロンドンに位置する,アリスター・マッケンジー設計のコースです。まさかマッケンジー設計のコースで身近にラウンドできるとは思っても見なかった。

なんでもインターネットで検索できるこの時代に,紙のガイドブック(しかも,もう10年前以上に刊行された)に何の意味があるのだろうと,思われる方もいるでしょう。ただ,分厚い本を手にし,その中の地図を眺め,その一帯の幹線道路と主要コースの位置を見,ページをめくってそのコースの紹介文を眺める。地図に戻ってはまたページをめくり直し……。この物理的・肉体的な愉悦は,いつになっても代替できないのではないかと思います。

「旅行は家に帰るまでが旅行」といいますが,ガイドブックを眺めているところから旅行は始まっているのかもしれません。

本 // Royal Dornoch Experience // ドーノッホの魅力を写真とイラストで紹介

永遠の旅を続ける『風の大地』の沖田圭介は,いまセント・アンドリュースでプレーする前にロイヤル・ドーノッホに向かったと風の噂で聞きました。

そのRoyal Dornochを,18ホールのイラストによる解説と,美しい写真の数々とで解説しているのが,この本です。

Royal Dornoch Experience
2005/5

中古で値段が18000円以上ってひどいな。定価は19.95ポンドです。



いろいろと面白い事実も書かれていまして,例えば,

  • いちばん海に近い10番のグリーンから11番のティーあたりだけれども,海岸線がどんどん侵食されてきているので近年護岸をした,けれども,地球温暖化が続けばこのへんの海面は著しく上昇することが予想されているので,将来はコースの姿が変わるかもしれない
  • クラブのフルメンバーは1315人。そのうち,290人が地元民,155人がハイランド地域在住,305人がそれ以外おスコットランド在住,235人がそれ以外のグレートブリテン在住,そして330人が海外在住
  • コースを訪れるビジターは年間12,000人超
  • 10月から4月のウィンターシーズンでもプレー可能。5月あたりからビジターが多く訪れはじめる。8月中旬でも日は長く,午後10時ぐらいまではクラブハウスから美しいコースを眺めることができる
  • プロのコースレコードは62,アマチュアは65。その65を出したラウンドでは,ひとつだけボギーがあった(14番,3パットによる)
  • かつて行なわれたコンペで,1番ホールで地元の科学者が空振りしたあとクラブを逆に振ったときにボールにあたって,ボールはティーの後ろのテニスコートまで転がっていった。そこからプレーを続け,7打目でようやく1番のティーを越えた。そののち,16番ホールで採石場に落ちて腕の骨を折ったけれど,最後までプレーを続けてスコアを提出した

ゴルフができない冬のあいだに,この本をゆっくり読んで,いろいろと思いを馳せるのもよさそうです。

18 Oct 2017

間違って発音している(であろう)ゴルファーの名前 // GOLF Magazine

Golfer's Names You (Probably) Mispronouncing // GOLF Magazine
http://www.golf.com/video/golfers-names-youre-probably-mispronouncing-vol-2

Graham Delaet ✕ダレイト ○ダレッ
Marc Leishan ✕ライシュマン ○リーシュマン
Louis Oosthuizen ✕ウーストハイゼン ○ウーストヘイゼン(南アではウェストヘイゼン)
Cameron Tringale ✕トゥリンル ○トゥリンリー
Richard Sterne ✕スターン ○スターニー
Kevin Chappell ✕シャペル ○チャペル
Brooks Koepka ✕プカ ○プカ
Tony Finau ✕フィナウ ○フィーナウ
Padraig Harrington ✕パドリグ ○ポドリグ
Suzann Pettersen ✕ピーターセン ○ターセン
Carl Pettersson ✕ターセン ○ピーターソン
Camilo Villegas ✕カミロウ・ヴィージェイガス ○カミーロウ・ビージェイガス


本 // 人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する

グラファイトシャフトの新製品情報を追えば追うほど,自分がグラファイトについてまったく知らないことを痛感し,ちゃんと知りたいなとずっと思っていたのですが,とっかかりにこの本を読んでみました。

人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する
マーク・ミーオドヴニク (著), 松井信彦 (翻訳)
2015/9/28


結果的には探していたような内容(教科書的・入門書的)ではなかったのですが,本としては十分に面白かった。内容としては,地下鉄で暴漢にカミソリで襲われたことをきっかけに「素材」に対して強い興味を持つようになった著者(ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジの「材料と社会」学部教授)が,現代文明をささえる10個の素材について,さまざまな角度からその歴史や不思議を解説する,といったものです。

はじめに:すぐそこにある材料の内なる宇宙へ
第1章:頑強……文明を変えた強くしなやかな「鋼鉄」
第2章:信用……記憶や愛を刻印する「紙」
第3章:基礎……社会の土台として進化する「コンクリート」
第4章:美味……「チョコレート」の秘密
第5章:驚嘆……空のかけらを生む「フォーム(泡)」
第6章:想像……映画も音楽も「プラスチック」のおかげ
第7章:不可視……なぜ「ガラス」は透明なのか
第8章:不可壊……「グラファイト」から世界一薄く強固な物質へ
第9章:洗練……技術と芸術が融合した「磁器」
第10章:不死……98歳でサッカーを楽しむ「インプラント」の私
第11章:人工……材料科学の未来

ゴルフに関係がありそうなのは,第8章のグラファイトと第1章の鋼鉄。鋼鉄の章では,日本刀の製造技術の話題や,あるいはステンレスが偶然から生まれたといった話,あるいはなぜそもそも金属は変形できて,その金属を強くするというのが原子レベルでどういったことなのか,といった内容であり,ためになりました。

グラファイト本,もう少し探してみます……。